女性の冷えについて、産婦人科クリニックさくら・桜井弘明院長にお伺いしました。
なぜ体が冷えるの?
体が冷えるということは血行不良であるといえます。
血行不良とは体の隅々まで温かい血液が行き渡っていない状態ですから、特に末端の手足に血液がまわらず、冷えを感じると考えられます。また、熱が生み出されるのは筋肉がエネルギーを消費するときですから、運動不足や、更年期で女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下して筋力が落ちると、冷えを強く感じる女性が多いようです。
冷えるとこんなトラブルが起こる
血行は健康状態を決める基本的な要素です。
血流が悪いと全身に栄養や酸素が行き渡らないだけでなく、体の老廃物を除去し、新しい細胞を作り出す新陳代謝も低下します。その結果、内臓の機能が落ち、さまざまな病気を引き起こす恐れがあります。卵巣機能が低下すれば、生理不順や、婦人科系の病気を引き起こす可能性もないとはいえません。さらに血行不良になると肌ツヤも悪くなり、見た目も確実に老化します。つまり冷えた血行不良の状態が、体にいい影響を与えることはひとつもありません。
冷えていると生理痛がひどくなる?
生理痛が起きるのは、子宮が収縮するとき出る痛み物質が原因です。
陣痛と同じ原理ですが、子宮が中の血液を排出しようとする際、筋肉が縮むことで痛みが引き起こされます。また子宮内膜症などの婦人科系の病気があれば、痛みが強くなったり、生理中でなくても痛みを感じたりすることがあります。
「お腹や腰(子宮の近く)を温めたら痛みが和らいだ」という経験を持つ女性は大勢います。婦人科系の病気が見当たらないのに生理痛があるという人は、体の冷えを疑ってみてもいいでしょう。
冷えと不妊症に関連性はある?
不妊にはさまざまな要因が絡んでおり、冷えだけで説明できないところがあります。冷え症だから体温が低いともいえず、平均体温が低めの人、高めの人と個人差があり、体温が高いから妊娠しやすい、逆に低いから妊娠しにくいとも言い切れません。ただし「体が冷えていて快調です」という女性はまずいませんから、不妊症の観点からだけでなく、体のことを考えるなら温めるに越したことはない、というのは明らかだと思います。